LIFE No.05
“待ちの医療”ですべての患者を受け入れ
“攻めの医療”で命を救う

今回のドクターズ・スペシャルトークは救急科をフィーチャー。これまでのトークでも初期臨床研修中の研修医たちに「一番大変だった」と語られることが多かった救急科では、一人の命を救うため、即座に重症度と緊急度を判断し、安定化のための処置をしながら、根本治療へと導きます。分単位で重症化する患者を助けるために大きなプレッシャーと常に向き合うことが求められる救命救急の現場。医師だけでなく、救急看護師、救急救命士、放射線技師などさまざまなプロフェッショナルが力を発揮しながら“関わったすべての命を助けるチーム”で活動しています。

LIFE No.5
“待ちの医療”ですべての患者を受け入れ
“攻めの医療”で命を救う

今回のドクターズ・スペシャルトークは救急科をフィーチャー。これまでのトークでも初期臨床研修中の研修医たちに「一番大変だった」と語られることが多かった救急科では、一人の命を救うため、即座に重症度と緊急度を判断し、安定化のための処置をしながら、根本治療へと導きます。分単位で重症化する患者を助けるために大きなプレッシャーと常に向き合うことが求められる救命救急の現場。医師だけでなく、救急看護師、救急救命士、放射線技師などさまざまなプロフェッショナルが力を発揮しながら“関わったすべての命を助けるチーム”で活動しています。

Member Profile

三戸 正人 医師

山口県出身。47 歳。山形大学医学部卒。山形県立日本海病院、公立久米島病院等を経て 2008 年にハー トライフ病院に入職。2012 年に救急総合診療部 副部長。現在は救急部長。救急科専門医。循環器専門医。総合内科専門医。日本 DMAT インストラクター。沖縄県災害医療コーディネーター。 日本体育協会公認スポーツドクター。医師 24 年目。

兼本 愛美 看護師

浦添市出身。39歳。沖縄県立浦添看護学校卒業。2006年、看護師免許を取得し、ハートライフ病院救急科入職。救急看護認定看護師。特定行為研修修了者。看護師17年目。

森元 一晟 救急救命士

名護市出身。30歳。2013年、東洋医療専門学校救急救命士学科卒。同年、救急救命士国家資格取得。北部地区医師会病院、特定非営利活動法人メッシュサポートを経て、2018年、ハートライフ病院入職。

宮城 直哉 放射線技師

名護市出身。40歳。2005年、城西医療技術専門学校放射線学科卒。2007年、診療放射線技師免許取得。沖縄県立北部病院を経て、2011年、ハートライフ病院入職。放射線技師15年目。

攻めの医療が、命を救う

“攻めの医療”の相棒であるドクターカーに寄り添う三戸医師。『エコーや12誘導心電図なども装備し、救急室で行う検査や治療をいち早く車内で行える』と話す。救える命が確実に増えていく。

――――今日は医療従事者を目指す若い読者の参考になることを気軽にお話しいただけたらと思います。まず、ハートライフ病院の救急科の特徴や診療内容、1日のスケジュールについて教えてください。

三戸

救急科では初期診療の段階から各科の専門医と連携し、シームレスな医療を実践しています。中でも「救急要請された患者さんは断らずに全部診る」ということを心がけています。
「困っている患者さんの『助けて』を助ける」ため、患者さんを一旦すべて受け入れ、安定化しながら適切な場所(手術室、入院病棟、専門医療機関)へ安全に移動させるのが救急の基本です。そのため、ER(救急室)では、救急隊からのホットラインの情報の欠片から病態を考え、重症化した場合に対応できるよう、「ちゃんと待つ」体制が必要です。
でも、待っているだけでは助からない、助けられない命もあるため、当院ではドクターカーによる病院前医療として“攻めの医療”も展開しています。

兼本

“攻めの医療”は先生がよく口にする言葉ですね。

森元

そうですよね。

三戸

私は救急の専門医ですが、循環器の専門医でもあり、現在も両方に関わっています。循環器内科医が専門医として力を発揮できる急性心筋梗塞の患者さんって、急に胸が痛くなったり、冷や汗をかいてショック状態になったりしてERに運ばれて来ることが多いんです。つまり、循環器内科で待っているより、ERから診療を始めることができればもっと多くの命を救えると考えたんです。

宮城

なるほど、そういうことか。

森元

確かにそうですね。

三戸

そのためには救急という入口がやっぱり大事で、そこがしっかりしないと、いくら病院の中でがんばっていても助かる命が助からない。ERがしっかりした上で、救急隊のみなさんといい連携体制を作れれば、患者さんに救急隊が接触したその時からいい医療が提供でき、救命の可能性が上がる。それが目指すべき救命救急の形だと思っています。

森元

スタッフみんなが肝に銘じないといけないですね。

三戸

私たちは“待ちの医療”と“攻めの医療”っていう言葉をよく使うんですけど、ちゃんと待てる体制が整えば、病院前から医療を提供する “攻めの医療”が展開でき、それまで「仕方ない」と諦めていた、「諦めるしかなかった」命をすくいあげることができる。
医師や看護師が現場に駆けつけて医療を開始するドクターカーがまさに“攻めの医療”の代表ですが、当院の特徴でもある12誘導心電図の伝送システムも、病院前から医療を提供する“攻めの医療”のひとつです。そしてその効果を最も発揮できるのが循環器と救急の強い連携だと思います。

兼本

その要が三戸先生ですね。

宮城

そしてみんなで命を救う!

三戸

1日のスケジュールについては、毎朝8時から15分間という短い時間ですが、ERで「朝のカンファレンス」を行っています。救急研修中の先生と指導医に加え、他科研修中の初期研修医や救急救命士、ER看護師、実習の学生さんが参加してくれています。
2年間の初期研修で一人ひとりが経験できる症例は限られます。ですが、ERでの判断や初期治療に悩んだ症例を共有することで、様々な重症患者への初期対応策を身に付けてもらえるようになると考えて続けています。
朝のカンファレンス以外は、救急の状況によって毎日のスケジュールはかなり変動しますね。休憩や食事の時間もまちまちです。

兼本

そんな朝のカンファレンス中からはじまる救急搬送やWalk inの患者さんの受診に対応しながら、検査や処置、治療の担当がある人はERから少し抜けたりしながらも、1日を通して重症患者への救急対応を続け、ドクターカーなどで重症・緊急度が高い患者が搬送される場合には集合し、みんなで協力して救命治療を行う、ということになります。

――――救急搬送の要請(ホットライン)が入ったら、現場ではどんな受け入れ準備をしているんですか?

兼本

人と物と場所の準備をします。例えば胸が痛いと訴える中年男性が運ばれてくる場合、まず医師と看護師と放射線技師を含めた関連部署に連絡をして人を集めます。最重症、緊急の場合には、血管造影室(アンギオ室)に救急車から直接搬入し、ECMOを用いた心肺蘇生(ECPR)で救命するための準備をすることもあります。

森元

病院の救急救命士(病院救命士)は、採血した血液を検査室へすぐに届けたり、集中治療室(ICU)から人工呼吸器をERに持ってきたり、必要だと思ったら心電図やエコー機を準備します。また、患者さんがERから緊急手術や入院病棟へ安全に移動できるように、動線の確保や酸素ボンベ、モニターなどを準備し、その先の指示や検査・治療の方向性を予測しながら動きます。

三戸

病院救命士はドクターカーの業務があるのが大きな特徴だね。

森元

はい。119番通報をしたら最初に対応するのは消防の指令センターです。通報内容で「重症」が疑われれば、消防の救急車と同時にドクターカーにも出動要請がかかり、現場に医師と看護師と出動します。

宮城

「小さな病院」を現地に運ぶ感じだよね。

森元

まさにそうですね。
消防にいる救急救命士も制約があり心肺停止でなければ気管挿管もできません。でも医師と看護師が現場に行き、病院到着前から薬を使ったり、処置をすることで病院内で行われる「当たり前の救命」ができます。
また、ERで待っているスタッフに現場の状況や患者さんの状態を伝えることも病院救命士の大切な業務です。
MESH(北部地域救急救助ヘリ)で勤務してきた経験を生かしてドクターヘリと連携し、患者さんを引き継いで搬送する業務も行います。頻度は多くはないですけどね。 ドクターヘリが必要となる離島やへき地の限られた医療環境などについて、研修医の先生たちに説明することもあります。

三戸

昨年秋には救急救命士法の改正もあったね。

森元

そうなんです。院内メディカルコントロール体制を整えたことで、病院搬送までだけでなく、入院するまでの間であれば病院救命士は救急救命処置ができるようになったんです。

兼本

消防の救命士との違いは、院内のことも知っているので、現場の状況から院内までの連携や橋渡しがうまくできているところよね。森元さんたち病院救命士は、消防の救命士さんたちの名前もみんなきちんと覚えているから、消防からの信頼も厚い気がするよね。

森元

救命士だけじゃなく、救急隊の方の名前はほとんど覚えていますよ。よく言われる「顔の見える関係」よりも「名前で呼べる関係」を心がけています。救急搬送後の患者さんの経過についても搬送救急隊に伝えるようにしています。救急隊のみなさんも搬送後のことを聞くとモチベーションが上がるみたいで、病院と病院前をつなぐ大事な役割だなと思っています。

三戸

そうだね。「あの人どうなりました?」と聞いてくれる救命士さんも増えたよね。病院前のプロである救急救命士が、病態を理解し治療までを考えた情報伝達をしてくれることで、より質の高い救命活動につながっているんだと思います。

宮城

僕ら放射線技師の担当はレントゲン以外にも、CTやMRIなど、扱う機器がすごく多いんです。レントゲンはポータブルというERにも運べる機械もありますが、大型の検査機器のある場所まで僕らが患者さんを移動するお手伝いすることもあります。緊急性の高い患者対応がある時は、現場の作業(予定検査の順番など)を調整し救急の対応を優先しています。

森元

検査機器をホントにたくさん使いますよね、技師は。モニター類も多いし。

宮城

そう。だから機器のメンテは本当に大切。電気系統がちゃんと動くか常にチェックしないと。1台でも止まると大変!重症患者さんの治療に支障が出るし、どれもとっても高価な機器だから。

三戸

ハートライフ病院では、専門知識を持つ役割の違うプロフェッショナルが、救急の目標である「ちゃんと助ける」を実現するために「今、何が必要か」「自分に何ができるか」をそれぞれ考えながら、役割を越えて患者さんの救命や社会復帰のための救急治療を行えているよね。

兼本

はい。そう思います。三戸先生が循環器と救急のどちらもがんばっていて名前がよく出るので、県外の認定看護師(救急看護)の友達からは、ハートライフ病院は循環器系専門の病院だと思われるくらい、循環器と救急は本当に充実していると思います。

宮城

確かに。循環器が強いっていうのはありますよね。

三戸

うちは心筋梗塞の患者さんが病院に来てから、カテーテル治療(PCI)が終わるまでの時間やECPR導入までの時間はものすごく速いと思いますね。それはドクターカーからERへ搬入し、ERの看護師さんがそのままカテ室看護まで対応してくれるからできていることだと思っています。

兼本

先生が救急から循環器のところを横断的にやってくれているので、研修医や救急の看護師、放射線技師もひたすらついて行っている感じです。

宮城

そうなんです。リーダーが素晴らしいですので。

森元

ホントそうですね。

三戸

いやいや、みんなが「絶対に助ける」という同じ目標に向かってがんばってくれるから、チームとしてうまくいっているんじゃないかと思うよ。

出動要請
ドクターカー
心筋梗塞疑いでドクターカーに出動要請がされた。現場到着後、医師・看護師による処置が行われ、救命士は状況を救急センターに伝達し、搬送後の必要な準備が進められる。12誘導心電図伝送・画像伝送システムで救急センターに情報は送り続けられ循環器内科医が待機しているので、病院到着時には必要な治療に向けた準備が完了している。
救急センター到着後
アンギオ室
救急センター到着後は基本的な検査を行い、すぐに治療可能な部屋へ患者を移送する。今回はカテーテル治療のためアンギオ室に移動した。アンギオ室では現場の救命士からの情報に基づき治療の準備を進めていたので、入室直後から治療が開始された。

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