患者さんのQOLやADL向上を目指して新しい手術法も積極的に取り入れる

――――島袋先生は、膝関節や足関節を専門にしているそうですね。

島袋

そうですね。膝で多いのがやっぱり変形性膝関節症で、うちの病院でも手術数が多い症例です。膝の軟骨が減り、骨が変形してO脚になるなどして痛みがある、そういう患者さんが多いですね。

衛藤

変形性膝関節症の治療はやはり手術ですか?

島袋

まずはリハビリや注射などを行って、それでも改善が見られない場合は人工の膝関節に置き換える手術を行うことも多いです。

立津

あと、骨を切るすごい手術もありますよね。

島袋

ああ、「大腿骨脛骨骨切り術」だね。O脚を根本的に治すというものです。

赤嶺

え、O脚って治せるんですか?

島袋

結構きついリハビリが必要だけど、骨がくっつけばしっかり歩けるよ。自分の関節を温存できるのが1番のポイントかな。

立津

これ、めちゃくちゃ良くなるんですよね?

島袋

そう、根本治療だからね。

衛藤

ホントすごいです!早く整形外科で本格的に勉強したいです。

――――神戸大学で学んだ手術法についても教えてください。

島袋

神戸大学でも膝と足について学びました。足の話だと足首の軟骨がすり減ると変形性足関節症になりますが、人工膝関節のように人工足関節という手術もあります。

衛藤

ええ~。すごい。

島袋

実は県内ではまだ症例は少なく、手術ができる医師も少ないんですが、私は神戸で10例の手術を見ていて手術も経験させてもらいました。これから沖縄で人工足関節の手術を増やしていけたらと思ってます。ハートライフでの手術には神戸から応援も来てくれるので安心です。

衛藤

変形性足関節症はどんな人がなるんですか?

島袋

多いのは骨折などの外傷で、昔スポーツなどでハードに足を使ったり、何度も捻挫をしていたとか、リウマチからなってしまう人もいるね。

赤嶺

症状はどんな感じなんですか?

島袋

足首が痛くて歩きにくい、歩くのがつらいという感じ。足の痛みの場合、適切な診断や治療の選択肢を受けていない人が多い可能性がある。沖縄で患者さんが埋もれてるんじゃないかな。

衛藤

確かに。少々の不調は放っておく人が多いかも。

島袋

足首が痛い人は、ぜひ気軽に診察に来て欲しいですね。

立津

今後、足が痛い患者さんが増えてきたら、もっと整形と形成の連携が必要になるかもしれないですね。

島袋

確かに。外反母趾とかもそうだよね。

立津

はい。お互いやってますからね。

島袋

形成は手と足に関してはどんどん進出してきてるよね。

立津

そうですね。特に外反母趾の手術は東盛先生がすごく頑張っていて。外反母趾の潰瘍が糖尿病の壊死につながることがあるので、外反母趾を治すことが大事だと考えて治療や手術を広めていて本当にすごいなと思います。

赤嶺

形成では巻き爪もすごく多いですよね?

立津

そうだね。外科的処置ができる皮膚科医の先生はあまりいないので、巻き爪の患者さんはうちに来ます。あとはやっぱりお年寄りが多いので、病棟にもたくさん褥瘡の患者さんを抱えてます。形成外科は別名「体表外科」「皮膚外科」と呼ばれ、頭の先から足の先まで傷を診れないといけません。そして乳房再建に代表されるように、欠損したものを作り直すのが仕事です。事故で失ったり先天的にない耳や鼻を作ってあげたり、外傷でなくなった瞼を作ったり、その材料も体のどこかから調達するのが形成外科のおもしろいところですね。

赤嶺

ホント幅広いし、奥が深いですよね。

――――この機会に先生方に聞いてみたいことありますか?

迷ったり悩んだりしてもいいでもやりたいことには貪欲に!

衛藤

島袋先生は専門の膝と足についてはいつぐらいに決めましたか?

島袋

実はちょっと遅めで、専門医を取った後の卒後8年目ぐらいに「膝」にしようと決めて、去年から「足」も始めた感じ。

衛藤

あ、そうなんですね。専門医取る前に「やりたい!」っていうのもありですか?

島袋

今決めてもいいし、後で変わってもいいと思うけど、「まだ決めてません」って言って全部を見てから決めた方がいいんじゃないかな。

衛藤

なんか全部見すぎとる悩みそうな気もして。専門医取る前の研修3年目で決められなくても、後で何とかなりますか?

島袋

なるけど、遅くても卒後7年目ぐらいには決めた方がいい。専門の技術や手術ができるようになるまで時間がかかるから、早めに独り立ちしておくと、いろいろと自由が利くし、やりたいこともできるよ。遅いよりは早い方がおすすめ。

衛藤

なるほど、そうなんですね。

赤嶺

立津先生も専門ってあるんですか?

立津

うちの場合は整形みたいに膝とか腰とかじゃなくて、基本的に何でもやらなきゃいけない。中にはリンパ浮腫1本でやってる医者もいるけど、形成はあまりそういったサブスペシャルティ1本でやっていく科じゃないので、基本的にはいろんなことをまず経験させてあげようというのが上の考えだと思う。

赤嶺

わかりました。

立津

でも、もし赤嶺先生がやりたいことがあるなら、「こういうことに興味あります」って言った方が、「じゃあこの手術に入れてあげよう」って調整してくれると思うよ。

赤嶺

ありがとうございます。遠慮せずに言うようにしますね。

――――研修医の先生方を受け入れる際に心掛けていることは何ですか?

島袋

整形外科医になる人にもならない人にも、整形外科がどういう科か幅広く知ってもらうことを心がけています。骨折やケガ、外傷を診たり、変形性関節症みたいな慢性的な変性疾患を診る科で、命に関わるものではなく、骨折や関節の不具合を治して歩けるようにするADLを上げるものであること。あとは趣味とかスポーツのしやすさをサポートしたり、外傷や脊椎、手の外科、関節、股関節、膝、足や腫瘍、小児整形などいろんな分野があるということ。整形の専門にはたくさん種類があるから、好きなものがきっと見つかると思う。だから「とりあえず整形外科医になったらいいよ」というスタンスで接するようにしています。あと病院にもよるけど、整形外科医は朝から晩まで手術してるから忙しいよというのも知ってもらいます。

立津

うちでも形成外科をよく知ってもらうために、主にこんなことをやってるよ、といろいろ見てもらって教えたいですね。研修医が急に骨折の治療やガンの切除は無理ですから、数が多い小手術などで実際にできものを取ってもらうとか、研修医のうちからできるだけオペレーターをさせることを目標にしています。僕も研修医で回った2か月間で、最後に小さなできものを取らせてもらったのはすごく達成感がありましたね。

――――研修医の先生方は今後どんな医師を目指していきたいですか?

赤嶺

形成外科はいろんな科と関わる幅広い分野が特徴なので、これからも人とのコミュニケーションを心がけて、科の隔たり関係なくいろんな先生と話せるようになって、総合的にベストな治療をできる医者になれればいいなと思ってます。

衛藤

自分も整形外科に進むのが第一ですが、患者さんを診察する際に足とか膝のことだけじゃなく、内科的なことも最低限は話を聞いたり、フォローできるようになりたいです。うちの病院はレクチャーで内科のこともやってくれるので、それを吸収しながら、赤嶺先生同様、いろんな先生とコミュニケーションを取って勉強することを意識する医者になれたらと思います。

島袋

2人にはもう言うことないね。医師として必要とされる資質で補足するとしたら、忍耐力かな。例えば病院が変わるとルールも変わるし、時には理不尽なこともあるかもしれない。臨機応変にやっていく術を身に付けて欲しいね。

立津

形成外科では、もし足を切断しても最終的には歩くことが目標でリハビリも必要です。そこには看護師や理学療法士、作業療法士の他にも義肢装具士や薬剤師など多くのスタッフが関わるため、コミュニケーション能力は特に形成外科医には欠かせない資質ですね。

――――これから医師を目指す医大生や研修医の先生方に、ご自分の体験を踏まえたアドバイスやメッセージをお願いします。

島袋

医者になって振り返ると学生時代が1番時間がある。勉強だけでなく、部活、サークル、遊びとか旅行とか、やりたいことは学生のうちにやろう!

衛藤

それ、マジでわかります!研修医になってまだ半年ぐらいだけど、すでに「学生のうちにもっと遊べばよかった、旅をすればよかった」って思ってます。

立津

そうだよね。しかもここ数年はコロナに阻まれてるし。

赤嶺

上の先生方を見てたら、お金はあるけど使う時間がないっていう状態が日常です。だから勉強頑張るのも大切だけど、学生で時間の余裕がある今しかできないこと、興味のあることは何でもやってみた方がいい。体験したことは強みになるから。

衛藤

釣りとかいろんな趣味に挑戦しておくと、入職後に趣味のネタでもっと先生方と仲良くなれたり、患者さんとの会話のきっかけになったり、仕事がしやすくなりそうな気がします。

島袋

私は大学時代に軽音楽部でバンド活動に熱中したけど、今は「もっとやればよかった」って思ってますからね!

立津

僕も同じ。ハートライフ病院では島袋先生と一緒にバンドを組んで活動もしてました。楽しかったですよね。

島袋

楽しかった!コロナで活動休止になって残念(涙)。ステージに出た時、メンバーの誰かが「笑顔で親切!ハートライフ病院」って叫んでたよね(笑)。

立津

ですよね~(笑)。今日は研修医の2人はすごくいい対応してたね、お疲れさま。やっぱり研修医の笑顔がハートライフ病院の良さですよね、島袋先生。

島袋

うん!やっぱり「笑顔で親切!ハートライフ病院」だね(笑)。

ハートライフ病院

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当院では随時病院見学を受け付けています。少しでもご興味をお持ちの方はぜひ見学へお越しください。
雰囲気を肌で感じ、職員の働く姿を見ることでハートライフ病院への理解も深まると思います。 研修医、スタッフ一同、心よりお待ちしております。

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