「早食い」は麻酔科医あるある！？3年目以降の専門科の決め方とは？
――――なるほど。ハートライフ病院は研修医を見守ってくれる環境があるんですね。次に麻酔科の特徴や主な業務について教えてください。
麻酔科の業務は基本的にオペ室内になりますね。全身麻酔での気管挿管や半身麻酔での脊髄注射があったり。手術中はモニターを確認しながら患者さんの状態をチェックします。他には術前に患者さんに麻酔の説明をしたり、ICUに行く患者さんの場合は、主治医の先生と一緒に少し経過を見ることもあるかな。
いろいろありますね。総合病院だからさまざまな科の手術にも関わりますよね？
それはあるね。だから広く浅くいろいろな科の病気のことを学びます。うちの病院は各科の垣根があまりないから、術前のカンファレンスでも気になることがあったら聞きやすいのがいいよね。これってすごく大事なことだと思う。
そうですよね。相談しやすい。
この他にも、少し深めに鎮静をかけたい検査の依頼があれば、検査室まで出張して麻酔を行うことがあります。
――――いろいろな科と連携しているのが麻酔科医なんですね。「1日のスケジュール」はどのような感じですか？
朝は8時から8時半の間に出勤して、8時45分からミーティング。その間に麻酔の準備をして、9時に患者さんが手術室に入室して麻酔をスタートします。例えば8時間くらいの長い手術だと、17時までずっと手術室にいる感じ。
え、そんなに長く？
手術によるけど、もっと長い時もあるかな。
その後は翌日手術の患者さんに麻酔についての説明をして、その日勉強することがあれば調べてから帰ります。
8時間の手術中はずっと何か対応があるんですか？
患者さんが落ち着いていればモニターチェックだけです。血圧や脈拍などのバイタル変動とか、出血などがあれば動きます。あと、お昼12時前後には他の麻酔科医とご飯交代があります。
手術中でもお昼がちゃんと食べられるんですね。
でも昼食は30分弱で済ませます。
麻酔科医は早食いが基本かも（笑）。
そうそう（笑）。
あとはみんな似たようなスケジュールですね。
そうだね。手術件数が異なったり、オンコールで緊急呼び出しがあれば、麻酔をかけるという感じだね。
なるほど。そういえば川上先生は現在妊娠中と伺ったんですが、手術中は立ちっぱなしですか？
いえいえ、イスに座ってやるから大丈夫よ。
麻酔科医は手術中座れるので、立ちっぱなしで手術を行う外科の先生方や看護師さんたちに比べたら、比較的ラクだと思います。
私たち研修医は8時までには病院に出勤して、研修医向けのレクチャーを受けます。8時半からは麻酔科の先生方と挿管の準備や薬の準備などをして、45分からのミーティングに参加して、9時以降は手術の始まりに挿管や脊髄の麻酔注射などの手技をいろいろやらせてもらっています。ところで先生たちはどうして麻酔科医になろうと思ったんですか？
私は最初は専門が決まってなくて、内科や外科、救急などを回る中で楽しいと感じたのが麻酔科だった。若い頃は挿管などの手技が決まったらうれしいじゃない？
うんうん。
そういう人は麻酔科医に向いているはず。
確かにそうかも。
あと、当時、麻酔科の部長だった久場先生（現顧問）の神業的テクニックを見て、「あんな風になりたい」と憧れたのも麻酔科を選んだ理由かな。
わかるー！
指導もとてもわかりやすくて、ね。
ゴッドハンドなんですね。すごい！
私はいろいろな科を回って楽しかった半面、専門についてはどうもピンとこなくて。同期の中で私だけ決められなくて、院長先生からも心配されて「3年目研修医っていう手もあるよ」って言われたりしました。
え？3年目研修医もありなんですか？
まさか（笑）。
それだけは絶対イヤでした（笑）。麻酔科を回った際、1年目に学ぶ手技ではなく、術中の麻酔管理を学ぶことに。患者さんの身体を見ながらどの薬をどんな風に使うのか、頭を使いながら管理することを任せてもらえた時におもしろさを感じて、ギリギリセーフで麻酔科に希望を出しました。
そういう出会いで専門が決まることもあるんですね。
最初から決めててそのままの人もいれば、決めてたのが突然変わる人もいるね。
みんないろいろドラマがあります。
私にもあるのかな。ドキドキします。
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