患者さんの負担が少ない「最適な麻酔法」を目指す

釜野 武志 医師
 2006年にハートライフ病院に初期臨床研修医として入職。初期臨床研修を修了後も引き続き当院で後期研修医として研鑽を積む。2014年に麻酔科専門医取得。2019年に麻酔科指導医取得。
 現在は麻酔科副部長 兼 副医局長 兼 手術室副部長として、手術室の管理業務も行いながら、後輩の麻酔科医や研修医の指導も行っている。

手技の技術力や術中管理、各科の先生方とのコミュニケーション能力が必須

 麻酔科の主な業務は手術麻酔で、一部集中治療室管理も行っています。院内の外科、整形外科、産婦人科、形成外科、脳神経外科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科などの各外科系手術他、内科経口内視鏡的手術、さらに放射線科の血管塞栓術などの麻酔を幅広く行っています。患者さんの年齢が幅広いのも総合病院ならではの特徴で、下は生後半年の乳児から上は90歳以上の高齢者にまで及びます。血液量が元々少ない乳児の手術ではチアノーゼが起きないよう細心の注意を払い、予備力が下がっている高齢者の場合は出血による血圧や心肺機能の低下などに緊急の対応が求められることもあります。体質や基礎疾患も入念に確認します。

 当院の麻酔科の特徴のひとつが、新しい治療法を積極的に導入している点です。今では日本全国で導入されるようになった「末梢神経ブロック」についても、いち早く2014年に導入しました。特に人口膝関節置換術に対しては、全身麻酔に末梢神経ブロックを併用し、術野の局所浸潤麻酔を組み合わせた形式はほぼ確立できており、術中・術後の痛みの軽減にも効果的であることから、患者さんの満足度も上がっています。

 現在、常勤医6人体制のうち半分が女性医師で、ベテラン、中堅、若手のバランスも取れています。麻酔科医は術前や術中の業務に加え、術後の集中治療室まで長時間の対応が必要になる場合もあります。医師一人ひとりが長年にわたり無理なくキャリアを積み重ねてもらうため、より良いワークライフバランスを実現できるよう、ONとOFFをしっかり切り替えて心身を休める環境に配慮しています。

 麻酔科医は各科の先生方と手術を行うことから、コミュニケーション能力が必要不可欠です。患者さんの状態や手術の緊急度、麻酔の心身への影響などを、執刀医の先生方と相談しながら準備を進めます。挿管を含めた麻酔に関するリスクなども含め、患者さんに術前の説明を行い、納得をしてもらうことも大切な業務です。

 また、研修医を受け入れる際には、自身の経験を思い出しながら指導するようにしています。実は私自身もハートライフ病院で初期臨床研修を修了した1人です。当時は麻酔科での研修は2か月間あり、技術の基本である挿管などの手技や、術中の管理、抜管に至るまで、今より多くの症例を経験することができました。しかし、今では1か月間となり、昨年度からはコロナ禍の影響で手術件数自体が減少し、研修医の経験の機会が減少しました。そんな中でも、術中および急変患者の対応に必ず役立つ気管挿管などの手技を徹底して教えるため、挿管練習用の人形を使って実際に見せながら、一緒に練習するなどしています。習得するまでに必要といわれる約50症例に足りない分は、救急の現場で研修医自身が習得するよう働きかけも行っています。

 当院で体験できない症例については、琉球大学病院での研修をはじめ、県外病院での研修参加、また学会での研究発表など、さまざまな機関と連携を図り、若手医師の経験や学びの機会を設けることも忘れません。今後も引き続き新しい技術の導入や、新しい症例への取り組みも積極的に行っていきたいと考えていますので、麻酔科に興味のある医学生や研修医は、ぜひ気軽に訪ねてほしいと思います。

ハートライフ病院

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当院では随時病院見学を受け付けています。少しでもご興味をお持ちの方はぜひ見学へお越しください。
雰囲気を肌で感じ、職員の働く姿を見ることでハートライフ病院への理解も深まると思います。 研修医、スタッフ一同、心よりお待ちしております。

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