悩んだり、間違ったりしながら医師として成長していく

――――医師の仕事のやりがいはどんなところにありますか?

普天間

『ありがとう』って言われて、お金もらえる仕事って医者ぐらいだよね」ってよく話します。普通はサービスを受けたら、提供した側からお客様に「ありがとうございます」だよね。医者は逆でサービスを提供してるんだけど、ありがとうって感謝される。

仲吉

なるほど。そうですね。僕は全然違う部分にやりがいを感じていて、治療の際に「情報を集める」「仮説を立てる」「検証する」ということをして、それが正しかった時はパズルがパチンとはまったような喜びがありますね。たとえ間違っていた時でも学びがたくさんあって興味深いな、というところで楽しんで仕事をしています。もちろん、患者さんがよくなった時には、そこに関わることができたという喜びもありますね。

新垣

私は誰かの人生に最後まで関われる仕事はあんまりないと思っていて、そこに一定の信頼を向けてもらって、お手伝いできるってところにやりがいを感じます。

――――逆に苦労や厳しさを感じるところはどこでしょうか?

新垣

そうですね。呼吸器っぽいことで言うと、他の科よりもグレーゾーンが多いことですかね。例えば循環器だったら、「何番の血管が詰まったから解除してよくなりました。」みたいな、原因と結果がわりとクリアだったりするんですけど、呼吸器ってまず全部がクリアにならないこともあるので、そこが難しいです。でも逆にそれぐらいのファジーさがあるのが、自分には合っているというのもありますけど。

普天間

やっぱり患者さんの人生に関わる職業なので、喜びがある一方で当然厳しさもあります。患者さんがみんな納得してくれるわけではないでしょうし、手を尽くしても無念のまま亡くなっていく方もいます。そこには厳しさも感じていますね。

仲吉

がんの告知など厳しい話を若い方にしなければならない時は特に辛いですね。

普天間

いわゆる「医者の壁」だね。若い医師は自分より若い人が亡くなるのを初めて見た時にはすごくショックを受けるからね。

仲吉

はい。僕もショックでした。

普天間

自分と同年齢の方が亡くなると、死が急に実感としてそばに迫って来るし、救えなかったという無力感も襲ってくるんだよ。

――――例えば、悩んだ時や壁にぶち当たった時はどうしているんですか?

新垣

私は普天間先生に「聞いてください!」って話を聞いてもらってますね(笑)。結構グチグチ言いますね。

仲吉

確かに。うちは上の先生たちがみんな話しやすいですもんね。

新垣

実は院外にいる時にちょっと体調を崩したことがあって。ONとOFFがうまく切り替えられなくて、ずっとONで生活してる感じになり、病院のことが頭から離れられなくなって悩んだことがあります。

仲吉

普天間先生は悩むこととかないんですか?

普天間

基本的にないかも。ストレス発散のために何かをするっていうのもないしね。

仲吉

え、そうなんですか?例えば、忙しくてイライラする時は?

普天間

イライラするともったいないから、「目の前の仕事にただひたすら集中しよう」って悩まないようにするね。自然にスイッチが切り替わるというか。

仲吉

ネガティブな感情のコントロールが上手なんですね。

普天間

そうね。イライラや怒りは長く続いたことがないね。

仲吉

僕はイライラとかストレスを感じたら、うまいもんを食べますね!

新垣

そっか。仲吉先生は料理が趣味だもんね。ラー油から手作りするんでしょう。

仲吉

そうですね。おいしいもんを食べる時もそうですけど、作った時はより幸せを感じるかな。

――――呼吸器内科医に求められる素養や資質にはどんなものがありますか?

新垣

患者さんの症状が、受診動機の中でも重いものが多いんですよ。咳とか。

仲吉

そうですね。息苦しさとか。

新垣

症状だけを見ると、必ずしも呼吸器の病気じゃなかったりもするし。消化器の疾患なんだけど咳の症状が出てくることもあるから。でも、割と最初は呼吸器に来がちなんですよね。

普天間

そうだね。症状が呼吸器だからといって、専門意識とか固定概念は持たない方がいいかもしれないね。

仲吉

その辺は、僕は最初から思い込みはないですね。

新垣

そう。何でも来るだろうと思ってるし。

仲吉

「これ、うちじゃねぇよ!」って最後まで言わないのが呼吸器なんですよ(笑)。

普天間

でも、中ではちょっと言っちゃうことあるけどね(笑)。

新垣

(笑)

 CPAP導入時の患者指導の様子

――――研修医に望むことはありますか?

仲吉

研修医って毎年毎年優秀になっていってるから、こっちが焦りますよね。

新垣

そうそう。おりこうさんが多いよね。

普天間

最近は自分の殻をなかなか破れない研修医が多い気がします。研修医の時こそ、もっと間違えてもっと恥をかいて欲しいよね。

仲吉

この時期に間違えておいた方がいいですよね。

普天間

そうなんだよね。間違えることで正しいことをすごく覚えられるし、勉強にもなる。研修医にもそう言ってるんだけどね。

新垣

研修を終えて、入職した1~2年目の先生たちがナースと話しているのを見ていると、コミュニケーションがあまり上手じゃない気がします。

仲吉

それ、わかるー。

普天間

そうだね。最近はコロナの影響もあって、飲み会もないからわからないんだけど、今の若い子ってそういう席でちゃんと弾けられるのかな?

仲吉

まぁ、その世代なりの弾け方はきっとできると思いますけど、コロナでもう4年ぐらい懇親会とかできてませんよね。

普天間

そう。できてないんですよ。

新垣

やっぱり飲み会って、業務以外で先輩後輩が仲良くなれる機会で、そういうことって結構大事だったと思う。

普天間

研修医の先生で、入ってきた頃は全然話をしなかったのに、何か月かして飲み会をすると、次の日から急に慣れ慣れしくなるとかね(笑)。

仲吉

そういうこと、ありましたね~。

新垣

特にマスク時代だと、表情もあんまりわからないので、素顔が見られるそういう席って大事かもしれないですね。

――――最後に、研修医に対して、ご自分の経験を通したアドバイスをお願いします。

普天間

1~2年目の研修医に私がよく言ってるのは、「自分のペースをつかみなさい」ということ。この2年間は自分のペースでずっと頑張るのもいいし、ゆっくりゆっくりやるのもいい。医者って一人前になるのに10年はかかるから、そこは自分のペース配分をこの2年間でつかんでいくのが大事です。

仲吉

え、10年?じゃあ僕らは1人前なんですかね。

普天間

そろそろじゃない?

仲吉

怖~っ。プレッシャーですよ。

新垣

あれ、仲吉先生ってもう10年経った?

仲吉

はい。11年目ですね。

新垣

私たちの頃は「研修医は苦労してなんぼ」みたいな風潮があって、3年目以降で独り立ちすると責任も生じてくるので、どうしてもなんか踏ん張らないといけないシチュエーションって多かったんですよね。精神的にも体力的にも。

普天間

昔はそうだったかもしれないね。

新垣

そういった時に、苦労したけど乗り越えたという経験がないと、頑張りがきかないという感覚が前はあったので、「研修の時は苦労も必要」って思ってたし、今もその部分は多少残ってます。でも、今は心構えもちょっと変わってきてますよね。

仲吉

うんうん。「とにかく頑張らなきゃ」でなくてもいいというかね。

普天間

そうそう。研修医には「頑張り過ぎない」という話を最初の頃からするようにしてます。

新垣

私が経験したONとOFFの切り替えがうまくいかない悩みとかは、長引くと休職や退職につながってしまう女性が案外多いと思うんですよ。やっぱり男性に比べると如実に体力の違いを感じるし。だから長く続けられるように各自に合った働き方やペース配分を選べるといいと思います。

仲吉

自分のペースで無理なくね!

普天間

そういったことも含めて考えるのが初期臨床研修です。頑張れる人は頑張れる科に行けばいいし、休み休みやりたい人はそういった科に。自分に合う科を探すのが大事だね。

仲吉

あと、僕は研修医には患者さんにも自分にも「偽らない」ということを伝えたいですね。患者さんがわかりやすいとか、傷つきにくいような言葉を選んでも、結果、事実とは異なることを言っていたら全く意味が違ってきますよね。あとは患者さんを診ない言い訳を自分の都合のいいようにするとか、そういうことも絶対にしてはいけないと思います。

普天間

やっぱり、わからないのにわかったふりをするのが一番ダメじゃない?

新垣

それは基本中の基本です。

普天間

難しく考えずに、何でも気軽に相談してくださいね!

仲吉

呼吸器内科で待ってまーす!

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