LIFE No.09

専門分野のスペシャリストが連携し、チームで協力して向き合う「糖尿病治療

今回のドクターズ・スペシャルトークはハートライフ病院の関連施設であるハートライフクリニックの糖尿病内科をフィーチャー。初期臨床研修で必須で回る科ではないのに、研修医から人気のある科目で、投薬などの治療だけでなく、食事や運動習慣、日常の血糖コントロールやフットケアなどが必要なことから、医師をはじめ、看護師、理学療法士、管理栄養士など専門分野のスタッフが力を合わせながらチーム医療で対応しています。

LIFE No.9

専門分野のスペシャリストが連携し、
チームで協力して向き合う
「糖尿病治療」

今回のドクターズ・
スペシャルトークは
ハートライフクリニック糖尿病内科
今回のドクターズ・スペシャルトークはハートライフ病院の関連施設であるハートライフクリニックの糖尿病内科をフィーチャー。初期臨床研修で必須で回る科ではないのに、研修医から人気のある科目で、投薬などの治療だけでなく、食事や運動習慣、日常の血糖コントロールやフットケアなどが必要なことから、医師をはじめ、看護師、理学療法士、管理栄養士など専門分野のスタッフが力を合わせながらチーム医療で対応しています。

Member Profile

山本 壽一 医師

奈良県出身。1988年に大阪市立大学医学部を卒業。1999年ハートライフ病院内科に入職。2004年糖尿病センター長に就任。2012年のハートライフクリニック開院に伴い院長に就任し現在に至る。日本内科学会総合内科専門医、日本内科学会指導医、日本糖尿病学会研修指導医、日本内分泌学会指導医。医師35年目。

久高 恵 看護師

那覇市出身。1994年に沖縄県立看護学校卒業後、同年ハートライフ病院に入職。2001年にハートライフ病院を退職したが、専修学校育成保育福祉カレッジ学院幼児教育課および近畿大学九州短期大学通信教育部保育課を卒業後、2005年ハートライフ病院に再度入職。看護師国家資格のほかに介護支援専門員や幼稚園教諭2種免許、保育士資格、社会福祉士、主事秘書資格2級をもつ。看護師26年目。

新垣 優子 管理栄養士

北中城村出身。1994年に徳島文理大学短期大学生活科学科食物専攻卒業。同年、(株)日本ユニテック入社(那覇市立病院勤務)。1995年、ハートライフ病院栄養科に入職。2012年ハートライフクリニック開院に伴いハートライフクリニック勤務。栄養士免許、食品加工技術認定資格、医療秘書、医療事務管理士。

長嶺 敦司 理学療法士

神奈川県出身。1994年東京健康科学専門学校健康体力科学科卒業。同年、東京ガススポーツ株式会社入職。2004年東京ガススポーツ株式会社退職。2008年両国リハビリテーション専門学校理学療法学科夜間部卒業。同年、ハートライフ病院入職。2012年、ハートライフクリニック開院に伴い疾病予防運動施設リューザへ配属。理学療法士、健康運動指導士等。

――――今日はみなさんの新人時代などを振り返っていただき、気軽にお話いただきたいと思います。まずはハートライフ病院に入職することになった経緯を教えてください。

山本

私は就職先を探す中で大学の知り合いの方に相談したら、「沖縄のハートライフ病院に空きがありますよ」と言われて。それで内科部長と連絡を取り、入職することになりました。

新垣

私は前職では給食管理業務が多く、患者さんと接する機会がほとんどなく転職を考えていました。ハートライフ病院へは「ここなら環境が変わる」と希望を持ち入職しました。

山本

新垣さんは患者さんと話すのがすごく好きだよね。

新垣

はい。おしゃべり好きな個性を生かせる仕事を考え栄養士を志しました。

久高

えー、そうだったんだ。

新垣

おしゃべりで人を幸せにできたらいいと考えていました。白衣もかっこいいじゃないですか(笑)

山本

それで実際に働いてみてどうだった?

新垣

食事、生活について沢山の方と話し合いました。しかし、思い通りには行かない事が多くありましたね。

久高

うちの病院は新垣さんにぴったりなんじゃない?

新垣

ホントにそう思います。ちなみに久高さんは、どうしてハートライフを選んだんですか?

久高

私はちょうど看護学校の卒業の時に、友人から「ホテルみたいな病院があるよ」って誘われて働くことになりました。

新垣

え、じゃあ新卒で勤められたのですね?

久高

そう。ハートライフ病院は想像通りきれいな病院だなというのが第一印象かな。長嶺さんはどんなきっかけだったの?

長嶺

僕は神奈川県出身なんですけど、両親は沖縄出身で、以前は県外で近所の方を対象にしたスポーツクラブで仕事をしていました。その頃、ある講習会に参加したら、沖縄からのチームも参加していて、その中にいた栄養士の新垣さんが「沖縄でこういうことをやりたい」と情熱を持って話していたんです。

新垣

覚えてます。長嶺さんも熱く語ってましたよね。

長嶺

そう。僕が「いずれは沖縄で社会貢献をしたいと決めています」って話したら、新垣さんがそのことを山本先生に伝えてくれて。

新垣

ハートライフクリニックができることになって、そこにジムもできるので長嶺さんが目指していることができますよ!って。

長嶺

山本先生から「うちに来ないか」ってラブコールを受けて。うれしかったですね。

山本

あれからもう何年経つかな?

長嶺

声をかけていただいたのは16年前ですね。長いお付き合いになりました。

久高

ホントだね。

――――みなさん、いろいろな経緯があってハートライフクリニックに集まったんですね。山本先生と久高さんが糖尿病内科と関わることになったきっかけもぜひ教えてください。

山本

実は、私は医学部へ行く前に大学で農学部食品栄養学を専攻していたんですね。糖尿病内科に興味があったのも、それがひとつの理由かなとも思うね。

久高

私はうちの祖母が糖尿病を患っていて、私が高校時代から祖母にインスリン注射を打ってあげていたんです。その後、看護師として当時のハートライフ病院の7階病棟に入職した際、そこが糖尿病専門の病棟だったので、祖母のこともあって希望して糖尿病治療に関わることになりました。その後は他の病棟の訪問看護や他の科も担当しましたが、再び縁があって、糖尿病内科で働かないかと誘われて現在に至っています。

糖尿病治療は患者さんもチームの一員ともに力を合わせて病気と闘う 

―――――ハートライフクリニックの糖尿病内科の特徴を教えてください。

山本

やっぱり一番大きな特徴はチーム医療というところですよね。私たち医師だけでなく、看護師、管理栄養士、そして理学療法士、さまざまな専門分野の医療従事者がチームで連携しながら、患者さんの治療を行っています。ただ、実はあんまり「対患者さん」という意識では向き合っていないかもしれません。患者さんというよりは、「糖尿病に至ってしまった方」のサポーターという感じでしょうか。

久高

いつも患者さんを支えたいという想いはすごくありますね。

山本

だから、糖尿病という持病があっても、患者さんが少しでも健康で元気でやってもらえるような、そういうクリニックであり診療が理想的かなと思っています。

新垣

患者さんであることをあまり意識しすぎないというか。

山本

そうそう。できるだけそうあって欲しいと思っていますね。

―――――みなさんの1日の主なスケジュール・業務を教えてください。

山本

朝は7時過ぎには出勤して、メールチェックやハートライフ病院の入院患者さんのコンサルトをして、スタッフの行動を確認します。8時半からはスタッフミーティングをして、その後は診療ですね。大体、毎日こんな感じです。夕方は16時半頃までは診療をして、それから書類整理やカルテ記入をして、病棟のコンサルトをしたら、帰るのは大体21時くらい。

久高

先生はいつも遅くまでいらっしゃいますよね。

山本

そうかな。

久高

私は大体8時前には病院に着いてますね。看護師の業務として、院内のリーダー業務と看護面談、フットケアと介助業務、そして自己血糖測定に関わる業務というのがあるんですが、その業務を毎日ローテーションで7名の看護師が行っており、私もその一員としてやっています。そのほかに事務作業もあります。

新垣

私は6時から7時ぐらいには出勤しています。栄養指導とカフェ運営を主に行っているんですが、その合間に糖尿病教室、患者会、料理動画の撮影も行ったりしています。患者さんが栄養相談でカフェに訪ねてくることも多くありますね。

長嶺

新垣さんはいつも忙しそうにしてるよね。

新垣

そうかも・・・。依頼されると、何でも引き受けてしまいます。

長嶺

僕はクリニックに併設している疾病予防運動施設「Ryuew-ZA(リューザ)」に勤務していて、今は3名で対応しています。午前と午後の業務があり、午前中は体組成計での測定をして、全身の筋肉や脂肪の量を確認したり、患者さんが前の診療から1か月の間に何があったか、要点をまとめながらヒアリングをします。測定結果を伝えながら、日常生活とリンクさせて、大きな変化や危険な変化があったら、山本先生や久高さんたちに、食事面だったら新垣さんにフォローアップしてもらっています。体組成計は裸足で測定するので、患者さんにフットケアが必要かどうかのチェックも同時に行います。

久高

糖尿病患者さんにとって、フットケアは特に大事よね。

長嶺

はい。なのでスタッフでしっかり連携し合っています。あと、リューザの方では、患者さんが入会する前に、その人の運動能力、歩き方や姿勢に加え、「今まで運動してきたけど続かなかった」など、運動のバックグラウンドについてもヒアリングしています。

山本

患者さんの情報をチームでしっかり共有してから、「この患者さんは運動療法を取り入れた方がいいな」と判断したら、長嶺さんにお願いすることもあるし、患者さんが自発的にジムに通われる場合もあるし。

長嶺

はい。いろいろですね。患者さんに糖尿病以外の疾患がないか、運動習慣はどうかなど、いろいろなお話を聞いて、それを踏まえて、その人にあった運動をプログラミングし、利用してもらっています。

山本

ハートライフクリニックでは、糖尿病治療など医療の分野だけでなく、栄養面でも運動面でもサポートしてもらえます。それが大きな特徴といえますね。

――――――沖縄の糖尿病の現状は?治療で最も大切なことはなんでしょうか?

山本

糖尿病患者は全国的に増えていますが、病院にかかっていない人も多いと思います。うちの患者さんで言うと、この数十年で3~4倍に増えていますね。患者さんがかなり増えてしまって、マンパワーが足りていないのが現状です。お年寄りが多いですが、若い方でも糖尿病になります。普通の糖尿病にもなるし、若年発症型の糖尿病もあります。

久高

いろんな方がいます。中には100歳の患者さんも。地域性ですよね。

山本

あと、沖縄はメタボとの関係性もあるよね。メタボを少しでも改善できたら、糖尿病改善の余地もあると思います。まずは健康的に痩せるということが大事。また、養老孟司さん曰く「糖尿病はバーチャルの病気」で、いわば仮想空間にいるような感じとのこと。現実では痛くもかゆくもないから想像しないと将来悪くなっていくことが理解できないんです。宣告されても痛くないから病院に行かずに放っておく人も多いし、かなり悪化して合併症が発症してしまうこともある。

久高

そうですよね。

山本

そんな病気なので、問題点を出して患者さん自身が「自分の治療をしていくんだ」というモチベーションを保っていかないといけない。それが糖尿病治療の一番大事なところだね。

長嶺

僕らスタッフはそのためのお手伝い、サポートを専門分野に分かれてやっているという感じですよね。

新垣

ほんとそうですね。うちな一んちゅは食の欧米化でエネルギー脂質過剰傾向にあります。また、活動量が少ないことも大きな問題です。

山本

沖縄の人って歩かないよね。昔CMにもあったけど、野球やっていて1塁までタクシーで行くとか(笑)あとは食事の脂分が全然違うよね、本土と比べて。

新垣

市販のお弁当を例に上げると分かりやすいです。本士のお弁当は、主菜に焼き魚、副菜に煮物、和え物料理が入ってます。沖縄のお弁当は、メインに揚げ物、副菜に炒め2品と脂質が多いですね。

長嶺

確かに。揚げ物率高いよね。

新垣

前に山本先生にも「沖縄のお弁当はごはんの上におかずがべったりのってるのがいやだ」って言われて。

山本

そう。おかずとごはんは分けて欲しい。

新垣

沖縄のお弁当には、傷みにくいおかずとして揚げ物やチャンプルーが作られています。患者さんには、野菜は炒め物しか食べないサラダ嫌いな方がいます。

久高

そんな時はどうするの?

新垣

ラダドレッシングをアレンジした料理や温野菜、和え物など、その方が実行できそうな内容を患者さんと一緒に考えます。絶対食べないと言う方もいるので、その場合は別の食生活の改善について話し合います。

長嶺

沖縄の食文化だね。

新垣

そうですね。動物性脂肪も多いので摂りすぎに気を付けたいですね。

長嶺

運動習慣では、沖縄県全体で見たら若い子は運動についてかなり情報を取り入れていて、やる子はやってますよね。運動の格差が二極化している部分があって、部活をやっていた子はそのまま継続的に運動をしていたり、運動していない子は「若いから大丈夫、問題ない」と思ってるんだけど、それが後々、年齢がいった時に陰りが出てしまう。「運動がなぜ必要か」というと、日常生活の範囲で使う筋力って、最大筋力の約20%程度なんです。

新垣

え?たったそれだけ?

長嶺

そう。しかも日常生活はどんどんラクになり、実際は20%以下しか使えてません。だからこそ運動を日常に取り入れて欲しいんです。この話が運動をはじめるきっかけになればいいなと思います。

久高

なってる患者さんもいますよ。

長嶺

うれしいです。僕はいつも患者さんに「通院してくれてありがとう」「自分を大切にしてくれてありがとう」という気持ち。運動も療養も少しずつでも何かにつながればいいので、まずはやろうとする気持ちが大事。次は少しでも改善できるって自分を信じて欲しい。

新垣

データを見て、一番落ち込むのは本人ですものね。

長嶺

そう。体重が増えてメゲていても、そういう自分も見つめてもらう。患者さんと僕らが時間をかけて信頼関係を築いていくのが大切だと思いますね。

山本

糖尿病治療のチームは患者さんもチームの一員で、真ん中にあるのが病気なんだよね。患者さんも一緒に病気と闘いましょう!というのが理想。あなたの身体の中の病気を良くするために、あなたも一緒に闘いましょうという感じ。患者さんの病がみんなの中心にあるんですよね。

久高

そうですよね。

山本

大事なことは、「患者さんが自分の問題点をちゃんと自分で考えて、自分で改める」ということかな。そういうことが改善していく上で大事。自分で気づいてもらうことが大事だと思うんですよね。

久高

先生や看護師に怒られたからやる、ではなくて、患者さん自身に「このままでは大変なことになる」という気づきを与えるのが大事ですね。

―――――なるほど。だからみなさんはLINEやYouTubeなどで運動面や栄養面、フットケアなどさまざまな情報を提供して、患者さんのサポートをしているんですね。

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